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宮崎ますみ
宮崎ますみ
Miyazaki Masumi
1968年生まれ。
愛知県出身。
1984年にクラリオンガールに選ばれ、翌年『ビー・バップ・ハイスクール』でスクリーンデビュー。以降、映画、テレビ、舞台など幅広く活躍するも、1996年の結婚を機に芸能活動を休止し渡米。2002年に活動拠点をハワイへ移す。本作は、そんな彼女の記念すべき女優復帰作。その他の主な出演作に『夢二』(91年)、『国会へ行こう!』(93年)など。著書に『至福へのとびら』(2003年飛鳥新社刊)がある。

宮崎ますみインタビュー

1996年に芸能活動を休止し、その後、結婚してハワイで暮らしていた宮崎ますみさん。ほぼ10年間の空白を経ての復帰作が、この『奇妙なサーカス』だ。

10代後半、クラリオンガールから『ビー・バップ・ハイスクール』や『夢二』で見せた愛らしさは時を経ても健在。その上で、さらに艶やかさも加わり、独特の「美」を醸し出している。

今回、描かれているのは禁断の世界。父と娘の歪んだ愛、母と娘を貫く嫉妬と憎悪、そうした関係がエスカレートした後に訪れる悲劇──。これを、過去と現在を交差させながら、描出していく。その中で宮崎さんは、母と謎の女性作家の二役を演じるが、一筋縄ではいかないストーリーが待ち受けている。

監督・脚本には、『うつしみ』『自殺サークル』といった個性的な作品を作りつづける園子温(その・しおん)。共演者には、これまた先ごろ映画で復帰を果たしたばかりのいしだ壱成さん、名バイブレーヤー田口トモロヲさん、大口広司さんらが並ぶ。

幻想的な映像が、ときに激しく、ときに静かに流れていき、その中を漂う宮崎さん。劇中、惜しげもなく美しい裸体を披露してくれた宮崎さんに、撮影の裏話を語ってもらった。






脚本を読み込むと、どんどん魂が抜かれ
役者って危険な仕事だったんだと痛感した



――復帰作に、今回の作品を選ばれた経緯をお聞きしたいのですが。

宮崎ますみ「プロデューサーとお話をしていて『宮崎に何をやらせようか』というところからはじまったんですね。じゃあ、まず監督を決めようと。それで園監督にお会いして、いろいろとお話しているうちに、監督が脚本を書き上げてくださったんです。私の何を感じて、ああいう脚本ができたのかは知りませんけど」

――中身も映像も、ハードな部分と幻想的な部分が入り混じっていますね

「私も、何が現実で何がイリュージョンか分からないという世界を演じてみたかったので、そういう希望は出しました。それを核にして、園監督の世界が展開されているのでしょう」

――できあがった脚本を見たときの感想は?

「なんじゃこれは(笑)、ホント、そういう感じです。園監督という人は、ダークサイドの知識に長けていましてね、ここで描かれている世界より現実のほうがよっぽど怖かったりする。そんな話も聞かされるわけですよ。ならば、納得するしかないか、と(笑)」

――幼児虐待や性愛といったものが描かれているだけに、演じるのも大変だったのでは?

「役者って、演じる対象との距離感を良い具合に保たないと呑み込まれてしまうんですね。今回はクランクインする前がヘビーで、3度、寝込みました。熱が出て、肩凝りのもっとハードな感じがあり、朝起きたら硬直して動けないんです。きっと役に対する拒絶反応だったと思うの。脚本を読み込んでいくと、どんどん魂が抜かれていき、その替わり役が乗り移っていくような、そんな気がして、役者ってこんな危険な仕事だったのかと改めて感じました。優しいお母さん役だったら優しい気持ちでいられたでしょうけど(笑)。深海にダイブするようなイメージで、何度も溺れかけましたね」

――自分の中にも存在する、暗い部分を見つめざるをえないということですか?

「そうですね。嫉妬心そのものは、誰でも持ってると思うんです。それを掘り下げていくと、どこに行き着くんだろうって。怖い作業でしたね。日常的には『私、そんなに嫉妬しないほうなの』とか言ってても、突き詰めると自分にもかなり暗く、汚い部分があるんだと気づいたんです」

  宮崎ますみ
――撮影後に尾を引いたりは?

「それはなかったですね。というのは、最後の方の撮影で、ある瞬間、全部抜け切ったと感じたんです。燃焼しきったというか。表現するうえで詰まっていたものがすべて抜け切った。そこで終わった気がして、引きずらなかったですね」

――共演者との関係もうまくいった?

「いしだ(壱成)さんとはベジタリアンの話、大口さんとはインドの話で花が咲いてました。現場はとても楽しくて、スタッフも楽しい人ばかり。スケジュールが押してピリピリしてきたときも『ラブ・アンド・ピース』でいこうよって。ストーリーはまったくラブ・アンド・ピースじゃないのにね(笑)」
宮崎ますみ

――今回、復帰されたのには、何かきっかけがあったんですか?

「2年前のインド旅行がきっかけと言えばきっかけですね。急に思い立って旅行したんですが、旅を通して、生命力みたいなもの……うーん、言葉にするのが難しいけど……自分の中の何かが目覚めたんですね。それまで何の不満もなく暮らしていた。でも、使い切れていない部分がある、と思えたのね。それで東京に遊びに来たとき、プロデューサーの方と話しているうちに、あれよあれよと映画の話が決まっていった」

――そんなに力を入れて「復帰しよう」というわけではなく?

「『よしやろう』というより、『降参しました』という感じ。与えられたもの、流れみたいなところに乗っていくのが、イヤじゃなくなったんですね。そこに身を任せていくような、そんな感じ」

――昔とは変わってきた?

「『このままでOK』と思えるようになりました。昔は、このままではいけないという思いが強くて、自分をプロテクトしたり虚栄心を抱えたりしていたけど、『もう嘘はやめようよ』と。そういう生き方は疲れるし、すぐに見破られるんです」

――では、演じ方そのものにも、ずいぶんと変化が?

「ブランクが長かったので、目線の動かし方とか、自分がどう映っているかとか、昔だったらあらかじめ分かっていたのに、今回はもう、全部忘れてしまっていて(笑)」

――今後、拠点はハワイに置いたまま活動をつづけるのですか?

「そろそろ日本に移そうかなとは思っています。ハワイは天国すぎるの。暮らすには、あまりに良すぎる。敢えて離れなければいけないような気がしますね」

――では最後に、読者へのメッセージをお聞きしたいのですが?

「これはもう決まり文句になりかけているんですけど(笑)、もう脱ぎません!」


テキスト=山村基毅/写真=須藤夕子



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