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不二子
不二子
Fujiko
1980年生まれ。
佐賀県出身。
三池崇監督の『ビジターQ』(2000)、辻仁成監督の『ほとけ』(01)など、気鋭監督の作品に次々に出演。瀬々敬久監督の『肌の隙間』(04)では、体当たり演技に挑戦。その他、『花と蛇2』(04)、『東京大学物語』(06)、『気球クラブ、その後』(06)などに出演。

不二子インタビュー

ミステリアスな微笑みが印象的な不二子さん。鬼才・三池崇監督の『ビジターQ』をはじめ、個性的な映画に次々と出演。透き通るような美しさで注目を集めた逸材だ。そんな彼女が今回挑んだのは、文豪・谷崎潤一郎の小説「卍」を映画化した作品。

監督した井口昇さんは、あるときは大人計画の個性派俳優として、あるときはAV界のカリスマ監督として、そしてまたあるときは、カルトな映像作家として人気を博す、多才な人物。谷崎文学を見事に調理し、井口テイストただよう滑稽さをはらんだ物語へと昇華させた手腕はさすがとしか言いようがない。

この作品で不二子さんが演じたのは、“台風の目”のような存在、光子。名門の家系に生まれたお嬢さまながらも、奔放かつ勝手気ままな性格で、周囲に嵐を巻き起こす。男はもちろん、女までをも虜にする妖艶な魅力の持ち主だ。

彼女に魅せられた人々を、快楽の迷路へと誘い込む光子という難役を、軽やかにこなした不二子さん。彼女に、映画について、そして「すごく面白い」という井口監督について話を聞いた。






撮影が始まって確信しました。
「これはコメディなんだ」と(笑)。



――今回、不二子さんが演じた「徳光光子」はかなりインパクトのある役ですが、最初に台本を読んだときの光子役の印象を教えて下さい。

不二子「光子は、いろいろな人を手玉に取る女ですよね。それだけ人を惹きつけなければならない役だということで、まずプレッシャーを感じました。映画を見て下さった人が『この娘だったら惹かれるのも分かるな』と納得しなければいけない。説得力がないといけないな、と」

――不二子さん自身には、光子と共通する部分ってありますか?

「光子とは全然違いますね。私自身は、結構周りの目を気にする常識派なので(笑)。彼女って起伏が激しいじゃないですか。悪魔っぽかったり、天使みたいだったり。ついつい協調性を重んじてしまう人間としては、ああいう奔放な女性に憧れはありましたけど」

――じゃあ、演じにくい役だった?

「いえ、自分と違うと思うからこそ、ちょっと客観的に、楽しみながら演じられたと思います」

――耽美な内容のはずなのに、この映画は笑ってしまうようなシーンも多いですよね。そのへんについて、監督からはどんな説明があったんですか?

「監督からは、全体像についての細かい説明などは特にありませんでした。ただ、出演が決まってしばらくしてからキャスト表ができあがってきたんですけど、それを見て、意外に思った記憶があります。光子の恋人の綿貫の役が荒川良々さんだったので、『あれ? これはもしかして楽しい作品?』って。そして撮影が始まり、監督の説明を聞いて確信しました。『これはコメディなんだ』と(笑)」

――完成した作品を見ての感想は?

「笑いながら見ました(笑)。谷崎の『卍』は、耽美で、官能的で、ドロドロした部分も多い話だと思っていたんですけど、この映画の爽やかさはスゴイですよね」


  不二子
――光子役について、監督からの要望などはあったのでしょうか?

「光子は感情の起伏が激しいので、それを出したいというお話はされていました」

――撮影現場の雰囲気は、どんな感じでしたか?

「明るくて、すごく和やかな現場でした。相手役の秋桜子(こすもすこ)ちゃんもとても面白い方だったし。でも、なによりも印象的だったのが監督。もう存在自体がおかしくて。私たちを撮るよりも、監督を撮った方が面白いんじゃないかってくらい(笑)。監督は、荒川さんもギュっと縮めたような人で、ふたりでいると凸凹コンビって感じでした。とにかく表情が豊かで、マンガが歩いているような人なんです」



――井口昇監督は、俳優でもありますよね?

「だから、撮影のときにも自分で演じて見せてくれるんですよ。ベットシーンでも、助監督さんと一緒に演じてくれるんです。助監督さんは大柄で監督は小柄なので、こちらも凸凹コンビなんですけど、もうそれがおかしくておかしくて(笑)。ちなみに監督は“光子”役でした。あと、表情についても、実際に顔を動かして『こういう表情ね』って言ってくれるんですけど、それは監督にしかできないな……という表情ばかり(笑)」

――秋桜子さんとのベッドシーンの撮影はいかがでしたか?

「裸になるシーンでは、みなさんとても気を使ってくださって。そして、すごく早く働くんです(笑)。でも、終始笑いが絶えない現場でした。“女性同士”のベッドシーンは初めてだったので、とても緊張したし、恥ずかしかったです……」

――撮影で大変だったことはなんですか?

「関西弁の台詞は初めてだったので、それが結構、大変でした。ずっとしゃべりっぱなしみたいな役なので、セリフの量も多いんです。イントネーションでNGを出してしまったりも……。現場には方言指導の先生がいらして、直して下さるんですけど。あとは、笑ってしまってNGということもありました。光子と園子、柿内の3人が心中を図った翌朝、部屋に入ってきた家政婦さんが3人を見て『死んでる!』と言って倒れるシーンがあるんですけど、あそこが本当におかしくて(笑)。監督も『よーい、スタート!』と言いながら吹き出しそうなんです。こちらも、吹き出しそうなのを必死でこらえて。でも笑ってしまって、何度か撮り直しました」

――光子についての感想を。

「ヤな女ですよね(笑)。裏表が激しくて、声色もコロコロ変わるし、あんな子が周りにいたら大変!」

――女性同士の愛についてどう感じましたか?

「私、かわいい子は普段から好きですよ(笑)。でも、光子は、女性に惹かれるとういよりも、自分の崇拝者を求めている感じですよね。たくさんの人にあがめられたいと思っているので、裸になるシーンでも、恥ずかしさと誇らしさが入り交じっているんです。『私はこんなに求められている、見たいと熱望されている』という歓び。その気持ちはすごくよく分かります」

――最後に、映画の見どころについて教えて下さい。

「見終わった後、かなりスッキリした楽しい気分で劇場を出られると思います。同性愛とかエロスを描いた作品だとかって身構えず、気楽な気分で見にいってみてください」


テキスト=編集部/写真=持木大助




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