日欧のエンターテインメント最前線:杏の北欧サスペンス挑戦と、エメラルド・フェネル版『嵐が丘』が巻き起こす熱狂

世界のエンターテインメントシーンでは今、国境を越えた重厚なサスペンスと、古典的名作の大胆な再解釈が大きな話題を呼んでいる。日本からは俳優の杏がフィンランドとの共同制作ドラマという新たな領域に挑み、一方のハリウッドでは不朽の名作『嵐が丘』の最新映画化が、観客を熱狂の渦に巻き込むと同時に議論を呼んでいる。

日フィンランド合作での新たな挑戦

WOWOWは、日本とフィンランドの共同制作による『連続ドラマW BLOOD & SWEAT』の放送および配信を4月5日午後10時より開始すると発表した。全8話構成となる本作で主演を務めるのは、フランスと日本の二拠点生活を送る俳優の杏だ。彼女にとって本作は、単なる海外ロケ作品以上の意味を持つ。撮影が行われた2024年12月から約3ヶ月間、彼女は家族と共にフィンランドに滞在し、現地の生活に身を置きながら撮影に臨んだ。「フィンランドでのドラマ撮影は忘れられない経験でした」と語る彼女の言葉からは、並々ならぬ覚悟でこのプロジェクトに挑んだことがうかがえる。

公開されたメインビジュアルと特報映像には、雪が舞うフィンランドの湖畔を背景に、決意に満ちた表情を浮かべる二人の刑事が映し出されている。中央に配置された神秘的な「鹿」の姿が、物語の鍵を握る不穏な空気を醸し出している。

国境を越える「美しくも残酷な」捜査

物語は、フィンランドと日本、約7800キロの距離を越えて連鎖する猟奇殺人事件を軸に展開する。杏が演じるのは、警視庁捜査一課の刑事・涼宮亜希だ。元公安トップを父に持ちながらもその影響力を拒絶し、自身の嗅覚と執着心で数々の難事件を解決してきた叩き上げの刑事である。彼女は捜査に利用できるある特殊な能力を持つ反面、その力に苦しめられてもいる。ある日、全身の血が抜かれ、「愛」を意味する花と奇妙な焼き印が残された遺体が発見されたことを機に、彼女の運命が動き出す。

彼女とバディを組むのは、フィンランドの国民的俳優ヤスペル・ペーコネン演じる国家捜査局(FNBI)の刑事、ヨン・ライネだ。犯罪者心理に精通した優秀な捜査官だが、過去の事件による心の傷を抱えている。日本でも同様の特徴を持つ遺体が発見されたことを受け、フィンランドを訪れた亜希とヨンは共に捜査を開始する。「美しいほどに残酷」と形容される事件の深層には、人間という脆い存在が織りなす想像を絶する真実が待ち受けている。

古典『嵐が丘』をめぐる狂騒と批判

重厚なミステリーが期待される一方で、アメリカではエミリー・ブロンテの傑作『嵐が丘』を原作としたエメラルド・フェネル監督の最新作が、まったく異なる種類の衝撃を観客に与えている。マーゴット・ロビーとジェイコブ・エロルディというスター俳優を起用した本作は、公開前から文学界と映画ファンの間で激しい議論の的となっていたが、実際の反応はさらに激しいものとなっている。

2月13日の「ガレンタインデー(女子同士で祝うバレンタイン)」に合わせ、友人を集めてプライベートシアターを貸し切り、この話題作を鑑賞したあるグループの報告によれば、上映中の雰囲気は「野性的」と呼べるほど異様な盛り上がりを見せたという。バレンタイン仕様のジンやテキーラベースのカクテルが振る舞われる中、スクリーンに身長196センチのジェイコブ・エロルディが登場するたび、18人の女性観客たちは歓声を上げ、あるいはあまりの衝撃に言葉を失った。

特にヒースクリフ役のエロルディが見せる支配的な演技に対し、観客席からはヒラリー・ダフの曲に合わせて「これぞ夢に見た光景」と歌い出す者や、過激なラブシーンに対してスクリーンに向かって熱烈な賛辞を送る者が続出したという。

現代的解釈と原作の精神

しかし、この熱狂の裏には複雑な背景もある。『ソルトバーン』で知られるフェネル監督による本作は、昨年秋の予告編公開直後から文学ファンや批評家から厳しい視線を浴びてきた。主な批判点は、原作では人種的マイノリティとして描かれることが多いヒースクリフ役に白人のエロルディを起用したこと、いわゆる「ホワイトウォッシング」への懸念だ。アンドレア・アーノルド監督による2011年版では黒人俳優が起用されていたこともあり、このキャスティングは物議を醸した。

さらに、ブロンテが1847年に発表した原作小説は、家庭内暴力や威圧的な支配、そして世代を超えて連鎖するトラウマといった重いテーマを扱っている。キャサリンとヒースクリフの関係は互いに精神を削り合う「心理戦」の様相を呈するが、フェネル版ではそうした陰惨な側面が薄められ、虐待的な関係がロマンティックに美化されているのではないかという指摘も初期からなされていた。