
現代の日本アニメを代表する二大巨頭、『鬼滅の刃』と『呪術廻戦』が、それぞれ異なる形で物語の続きを展開し、世界中のファンを沸かせています。一方は劇場版で物語のクライマックスを描き、もう一方は本編完結後に全く新しい続編を漫画で開始するという、対照的なアプローチが注目されています。
『鬼滅の刃』:待望の第5期の代わりに映画を選択、興行的に大成功
多くのファンが待ち望んでいたテレビアニメ第5期の代わりに、劇場版『鬼滅の刃 無限城編』が公開されました。現在、世界各国のほとんどの地域で上映が開始されており、その興行収入は、制作陣の判断が正しかったことを証明しています。
記録的なオープニング
2025年9月15日現在、興行収入の集計がまだ完了していないヨーロッパの一部地域(ドイツ、フランス語圏など)を除き、公開された国々では驚異的なスタートを切りました。特に、Deadline誌によると、本作はアニメ映画史上最高のオープニング興行収入を記録し、約450万人のファンが劇場に足を運んだと報じられています。この圧倒的な数字は、炭治郎と柱たちの最終決戦を大スクリーンで見たいというファンの強い期待の表れと言えるでしょう。ドイツでは、9月18日に公開が予定されており、さらなる記録更新が期待されます。
ファンからの評価と今後の課題
観客動員数だけでなく、作品の評価も極めて高いものとなっています。世界最大級の映画データベースIMDbでは、21,800件以上のレビューが寄せられ、10点満点中8.7点という高評価を獲得しています(9月15日午前9時時点)。特に、映画の圧倒的なアニメーション技術とストーリーテリングが高く評価されており、「感動的な場面が多かった」「戦闘シーンは圧巻だった」といった声が多数を占めています。
一方で、一部のファンからは、映画の尺の長さについて「一部のシーンはもっと短くできたのではないか」という批判的な意見も見られました。あるファンは、「個々の鬼の背景説明を少し減らしてでも、柱たちが活躍するシーンをもっと見たかった」とコメントしています。
この映画化という決断の背景には、ファンの間で賛否が分かれたテレビアニメ第4期の存在があります。一部の視聴者から「退屈だった」との声が上がった一方、他のファンは「嵐の前の静けさだ」と擁護するなど、その展開ペースが議論を呼びました。特に、原作漫画のわずか1ページをアニメ1話分に引き延ばした演出は、コミュニティの意見を二分しました。最終決戦を映画という媒体で描くことは、こうした課題を解決するための最善策だったのかもしれません。
『呪術廻戦』:本編完結後、続編『呪術廻戦 モデューロ』が始動
テレビアニメ第3期が2026年に予定されている『呪術廻戦』ですが、原作漫画はすでに最終回を迎えました。しかし、物語はここで終わりではありませんでした。芥見下々氏による全く新しい物語、『呪術廻戦 モデューロ』がすでに始動しています。
68年後を描く直接的な続編
『呪術廻戦 モデューロ』は、前作の最終章の一つである「死滅回游」から68年後の2086年が舞台となっており、物語の直接的な続編にあたります。主人公は、乙骨憂太と禪院真希の孫にあたる乙骨由香(おっこつ ゆうか)と乙骨剣(おっこつ つるぎ)の兄妹です。これにより、前作の二人が結ばれ、子孫を残したことが公式に示唆されました。
物語には新たな脅威として、呪力を持つ地球外生命体「シムリアン」が登場。宇宙船で地球に来訪した彼らが、新たな敵対者となります。
新世代の術師たちの物語
「死滅回游」後、日本では呪力の供給源として価値の高い子供たちが標的となる誘拐事件が多発。彼らは闇市場で生きたエネルギー源として売買されていました。由香と剣の兄妹は、この凶悪犯罪を解決する任務に就きます。
祖父・憂太の性質を受け継ぐ由香と、祖母・真希の力強さを持つ剣。二人はそれぞれ自身の問題を抱えながらも、互いに「兄妹でどちらがより強いか」を証明しようと競い合います。
続編への期待と注意点
この新シリーズは、集英社の公式プラットフォーム「MANGA Plus」にて、現在英語版を読むことができます。物語は全3巻構成の短期集中連載となる予定で、約半年で完結する見込みです。そのため、長期的な作品に抵抗がある読者でも気軽に楽しむことができます。エイリアンという新たな敵の登場は、シリーズに新鮮な風を吹き込んでいます。
ただし、前作のキャラクターたちのその後を期待するファンにとっては、少し物足りないかもしれません。これまでに公開された数話では、前作の登場人物たちは後ろ姿で描かれるなど、顔がはっきりと確認できない形での登場に留まっています。物語の時代設定を考慮すると、彼らの多くが故人となっている可能性が高く、登場したとしても物語の主軸を担うことはないでしょう。
今後の展開次第で物語の方向性が大きく変わる可能性もありますが、現時点では、新世代のキャラクターたちによる全く新しい物語として楽しむのが良さそうです。