NetflixとMAPPAが戦略的提携を拡大、細田守最新作『Scarlet』はIMAXへ──加速する日本アニメのグローバル展開

日本のアニメ産業が世界規模で新たな局面を迎えています。Netflixによる制作スタジオとの包括的な提携強化、そして世界的評価を受ける映画監督の新作展開という、業界を揺るがす二つの大きなニュースが飛び込んできました。ストリーミングと劇場公開、それぞれのアプローチで加速する日本アニメのグローバル戦略について詳報します。

NetflixとMAPPA、戦略的提携を拡大

『チェンソーマン』や『呪術廻戦』など、世界的ヒット作を手掛ける東京のアニメーションスタジオ「MAPPA」とNetflixが、新たな戦略的アライアンス(提携)を結んだことが明らかになりました。

この動きの背景には、昨秋公開された映画『チェンソーマン – The Movie: レゼ編(Reza Arc)』の驚異的な成功があります。チェーンソーの悪魔と共存する男を描いたこの作品は、北米だけで4300万ドル、全世界で1億6000万ドルの興行収入を記録しました。かつては「異色作」と見なされていたような作品であっても、今やメインストリームの商業ジャンルとして成立することを決定づけたのです。

Netflix日本法人のコンテンツ部門を統括する坂本和隆氏は、火曜日に東京で行われたコンテンツ発表会にて、今回の提携について次のようにコメントしています。

「日本の主要なクリエイターやスタジオと培ってきた信頼関係を基盤に、我々はより深く、協力的な創作活動へと進化させています。今回発表したMAPPAとのパートナーシップはその方向性を反映したものです。物語の開発からマーチャンダイジングに至るまで、すでに複数のプロジェクトが進行しており、画面の枠を超えてファンが楽しめる世界観を共に創り上げていきます」

「製作委員会」方式からの脱却

業界関係者によると、今回の提携における最大の注目点は、従来の日本のアニメ制作を支配してきた「製作委員会方式」を採用していない点にあります。通常、リスク分散のためにテレビ局、出版社、広告代理店、玩具メーカーなどが出資し合うこのシステムとは異なり、今回の契約はMAPPAとNetflixが直接手を組む形となります。

これは、スタジオ側が作品の権利やクリエイティブな主導権をより強く保持できることを意味しますが、同時にNetflixの発言力も増すことになります。MAPPAの大塚学代表取締役社長は、1月21日の提携発表時に次のように語り、独立性を保つ姿勢を強調しました。

「過去にもNetflixとは様々なプロジェクトで協業してきましたが、今回の提携拡大は、クリエイティブ面でもビジネス面でも『独立したスタジオである』というMAPPAの核心的な信念に基づいています。日本のアニメスタジオは、世界の視聴者のニーズ理解から企画開発、そして関連ビジネスの拡大に至るまで、あらゆる段階を主体的にリードする必要があります。Netflixとの連携を深め、長期的かつWin-Winな関係を目指します」

Netflixによると、現在会員の半数以上がアニメを視聴しており、過去5年間でその視聴数は3倍に増加しています。『らんま1/2』や『賭ケグルイ双』など、MAPPAの特徴的な作品を世界に届けてきた実績を足掛かりに、両社はアニメというメディアの可能性をさらに広げようとしています。

細田守監督最新作『Scarlet』、IMAXで再始動

ストリーミングの世界で新たな動きがある一方、劇場公開作品でも大きなトピックがあります。ソニー・ピクチャーズは、細田守監督の最新作『Scarlet(邦題:スカーレット)』の新たなIMAX版予告編を公開しました。

『時をかける少女』や『サマーウォーズ』、『竜とそばかすの姫』などで知られる細田監督ですが、本作はこれまでの作品よりもダークで力強いトーンが特徴です。2025年のベネチア国際映画祭でプレミア上映された本作は、ファンタジー、神話、そして時空を超えたドラマが融合した、監督のキャリアの中でも最も野心的な作品の一つとして注目を集めました。昨年12月の北米公開を見逃した観客に対し、ソニーはIMAXという最高の環境での鑑賞機会を再び提供する構えです。

「ハムレット」×「異世界」の野心作

物語の主人公は、芦田愛菜が声を担当する恐れ知らずの王女スカーレット。父の殺害に対する復讐に失敗した彼女は、シュールな「死者の国(Land of the Dead)」で目を覚まします。この混沌とした世界では、果たされなかった復讐心には恐ろしい代償が伴います。宿敵を倒し「終わりのない場所(The Endless Place)」と呼ばれる目的地にたどり着かなければ、彼女は「虚無」へと消え去り、存在そのものが失われてしまうのです。

時空を超えた旅の果てに、スカーレットは現代の日本に生きる男、ヒジリ(声:岡田将生)と出会います。この出会いが物語に鋭い展開をもたらします。本作は実質的に、シェイクスピアの『ハムレット』を細田流にジャンルを曲げて再構築し、異世界ファンタジーとエモーショナルなキャラクタードラマのフィルターを通して描いた作品と言えるでしょう。